私は文学部英文科に入学した。小説を読むことが好きだったわけではない。ただ英語が深く学びたかった。私は遅読派で、トルストイの長編小説など読もうとも思わなかった。そんななか、授業でアメリカの作家ユージーン・オニールを読むことになった。その作品名は Beyond the Horizon である。これは彼の初期の短い劇作で、授業で簡単に読み切った。そして、私は戯曲を読む魅力に憑りつかれてしまった。戯曲は短く読みやすかった。さらに、戯曲は劇場で楽しむこともできる。大学生のあいだに、私はオニールの作品をほとんど読破した。英語でも4,5冊読んだ。近代劇を読み漁った。その後に来るのが不条理演劇だ。当時は学生運動が盛んだったころで、自分に揺れていた私にとって、この掴みどころのない演劇の世界は、自分そのものだった。
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